FCのプロフィールは本部と加盟店どちらが持つか|脱退時まで決める
この記事でわかること
- フランチャイズのビジネスプロフィールを「本部が持つ/加盟店が持つ/両方で分ける」の三つの得失
- 加盟契約・運用マニュアルに書いておくべき、プロフィールまわりの取り決め項目
- 脱退・屋号変更のときに、口コミと評価がどう扱われるか(公式ヘルプに書かれていること/書かれていないこと)
- 本部が全店のプロフィールを見られる状態を、加盟店の運営権を奪わずに作る順番
Googleの仕様に触れる箇所は、2026年9月22日時点の公式ヘルプを開いて確認した内容です。ヘルプに記載のないことは「記載がない」と明記しています。
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なぜ「どちらが持つか」を先に決めるのか
結論から言うと、プロフィールの所有権は、加盟店が増えてから決め直すのが最も難しい項目だからです。口コミは店舗のプロフィールに紐づいて蓄積され、脱退や屋号変更のときに「誰のものか」で揉める材料になります。開業前、遅くとも加盟契約の更新時に、文章で決めておくのが現実的です。
もう一つ、重複プロフィールの問題があります。公式ヘルプには「ビジネスごとに作成できるビジネス プロフィールは 1 つだけです。同じビジネスの複数のプロフィールは、ユーザーを誤解させるおそれがあり、Google のポリシーに違反します。プロフィールが重複と見なされた場合、Google 検索やマップに表示されなくなります。」(重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する)とあります。本部が先に作り、加盟店も知らずに作る、という事故は起こりがちです。「誰が作るか」を決めることは、そのまま「重複を作らない」ことでもあります。
なお、FCブランド名をプロフィールのビジネス名に使えるかについては、公式ヘルプに明確な記述があります。「ただし、ビジネスがブランド商品やサービスを販売する専属契約を締結した公式認定ショップ(「フランチャイズ」を含む)の場合は、そのブランド名でビジネス プロフィールを作成することができます。」(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン)。ブランド名の使用そのものは、この条件下で認められています。
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三つの持ち方と、その得失
結論として、どれが正解ということはなく、「誰がオーナー権限を持ち、誰が日々編集するか」を分けて設計すれば、三つのどれでも運用できます。問題が起きるのは、決めないまま走り出した場合です。以下は、ヘルプに書かれた仕様(オーナー権限のリクエスト、重複、名称変更)を前提に、契約実務として整理したものです。
| A:本部が所有 | B:加盟店が所有 | C:加盟店が所有・本部が管理権限 | |
|---|---|---|---|
| オーナー権限 | 本部のアカウント | 加盟店のアカウント | 加盟店のアカウント |
| 日々の編集 | 本部または委任 | 加盟店 | 加盟店(本部も可) |
| ブランド表記の統一 | しやすい | 加盟店任せになりやすい | マニュアルで揃えやすい |
| 口コミ返信の速度 | 本部の体制次第 | 店舗次第 | 分担を決められる |
| 脱退時の切り分け | 本部側で完結しやすい | 加盟店側に残る | 権限を外す運用が必要 |
| 加盟店の納得感 | 低くなりやすい | 高い | 中〜高 |
A:本部が所有は、ブランド名・カテゴリ・写真の統一が最もやりやすい形です。公式ヘルプは「Google マップと検索結果から、ユーザーにすぐに見つけてもらうには、すべてのビジネス拠点で一貫した名称とカテゴリを使用します。」(同ガイドライン)としており、統一の要請自体はGoogle側にもあります。一方で、営業時間の変更や臨時休業といった、店舗でしか分からない更新が遅れやすい。ここが実務上の弱点です。
B:加盟店が所有は、現場の更新は速い代わりに、ビジネス名の表記ゆれが出やすくなります。ヘルプには「同一国内のビジネス拠点は、場所に関わらず同じ名称にします。たとえば「ザ・ホーム・デポ」という名称であれば、一部にこれ以外の「ホームデポ」や「ホーム・デポ新都心店」を使用することは認められません。」(同ガイドライン)という具体例が載っています。店舗名に地名を足す運用は、この記述に照らして事前に検討が必要です。
C:加盟店が所有し、本部が管理権限を持つは、AとBの折衷です。運営の主体は加盟店に置きつつ、本部が閲覧・修正できる状態を作る。多店舗の権限の分け方そのものは別記事「多店舗のビジネスプロフィール権限設計|グループ・オーナー・管理者の分け方」で扱っているので、ここでは重ねません。
どの形を選んでも、アカウントは個人の私物メールではなく、事業として管理できるアカウントにすることだけは共通です。担当者の退職でログインできなくなる事故は、所有形態と関係なく起こります。
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加盟契約に書いておく事項
結論として、書いておくべきは「開業時に誰が作るか」「運用中に誰が何を変えてよいか」「終了時にどうするか」の三点セットです。特に三点目が抜けている契約書が多く、脱退時の交渉材料がなくなります。以下は契約書・運用マニュアルに落とすときの項目案です(法的な有効性の判断は、契約の内容や個別事情によります。実際の条項化は弁護士など専門家にご相談ください)。
- プロフィールの作成主体:開業時にプロフィールを作成・申請するのは本部か加盟店か。重複作成を防ぐため、一方が作成した後にもう一方が別途作成しない旨を明記する。
- オーナー権限の帰属:オーナー権限を持つアカウントの所属(本部/加盟店)。ヘルプには「ビジネス プロフィールのオーナー権限を引き受ける場合は、前のオーナーにオーナーとして追加してもらったうえで、オーナー権限を譲渡してもらう必要があります。」(同ガイドライン)とあり、譲渡には現オーナーの操作が要ります。契約で「移す」と書いても、現オーナーが動かなければ完了しません。この点を踏まえた期限と協力義務を入れておく。
- 編集できる項目の線引き:ビジネス名・カテゴリは本部が決める、営業時間・臨時休業・写真は加盟店が更新する、といった分担。名称とカテゴリの一貫性はガイドラインの要請でもあるため、本部側に寄せるのが自然です。
- 口コミへの返信の分担:誰が、どの範囲を返すか。返信の体制設計は「多店舗の口コミ返信は本部と店舗のどちらが返すか|返信率98%の体制」で扱っています。
- 口コミ依頼のルール:依頼してよい場面と、やってはいけないこと(後述)。本部が統一した文面と禁止事項を配る。
- 契約終了時の取り扱い:脱退・解約時に、プロフィールをどうするか。屋号変更の手順、オーナー権限の移管、本部側の管理権限の削除、誰がいつまでに何をするか。
- 停止・非表示が起きたときの連絡経路:プロフィールが表示されなくなった、重複と判断された等の事象が起きたときに、加盟店から本部へ連絡する窓口と時限。
3と6は対になっています。運用中の編集権限を本部が握っていたのに、終了時の条項がないと、加盟店は自店のプロフィールを編集できないまま独立することになります。
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脱退・屋号変更のとき、口コミはどうなるか
結論として、公式ヘルプには「脱退時に口コミがどう扱われるか」という項目そのものは存在しません。関係する記述は、名称変更のルールと、プロフィール統合・削除の挙動の二つです。この二つから言えることだけを書きます。
名称変更で済むのか、新しいプロフィールになるのか
ヘルプにはこうあります。「ビジネス名に含まれている固有名詞やサービスが変わらず、業種の変更もないなど、ビジネス名をわずかに変更する場合、ビジネス プロフィールでビジネスの名称変更(新しいビジネス プロフィールを作らずに、有効な名称を変更すること)ができることがあります。」(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン)。
そして基準を満たさない場合については、「ビジネスの名称変更を行なった際に上記の基準を満たしていない場合は、新しいビジネスとみなされます。既存のビジネス プロフィールを閉業としてマークを付けたうえで、新しいビジネス名でビジネス プロフィールを作成する必要があります。」(同ガイドライン)と書かれています。
つまり、FCを脱退してまったく別の屋号で営業を続ける場合、それが「わずかな変更」にあたるのか、「新しいビジネス」とみなされるのかで、扱いが変わります。どちらに該当するかの線引きについて、ヘルプは「固有名詞やサービスが変わらず、業種の変更もない」という条件を示すにとどまっており、個別のケースの可否までは書かれていません。新しいプロフィールを作る扱いになれば、既存プロフィールに溜まった口コミは新しいプロフィールには引き継がれない、というのが「閉業マーク+新規作成」という手順の意味するところです。
ヘルプは「ビジネスの名称変更に関して問題が発生した場合は、サポートチームにお問い合わせください。」(同ガイドライン)とも案内しています。判断に迷う規模の変更なら、勝手に新規作成せず、まずここを使うのが手順です。
統合・削除で口コミがどうなるか
重複プロフィールの統合について、ヘルプは「2 つのプロフィールを統合すると、クチコミは統合されますが、クチコミへの返信は失われる可能性があります。統合を成功させるには、プロフィールが同一のビジネスを代表し、同一の情報を含んでいる必要があります。」(重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する)と記載しています。統合は口コミを残す方向ですが、返信は失われる可能性がある。ここは覚えておく価値があります。
削除については、「重複するプロフィールを削除すると、すべてのコンテンツとリンクされた管理者が削除されるため、正しいプロフィールを削除してください。」(同ページ)とあります。脱退時に「とりあえず消す」という判断をすると、戻せないものが出ます。
実務としての順番
- 契約終了日より前に、オーナー権限が誰のアカウントにあるかを確認する。
- 脱退後の屋号が、名称変更の基準に当たるかを検討する。判断に迷えばサポートに問い合わせる。
- 移管が必要なら、現オーナーがオーナーとして相手を追加し、権限を譲渡する(前掲のヘルプ記載どおり、現オーナーの操作が必要)。
- 不要になった側の管理者・オーナーを外す。
- 新規作成が必要な場合も、既存プロフィールを放置しない。放置は重複の原因になります。
既存プロフィールが表示されなくなった、口コミの件数が減ったといった事象は、脱退とは別の原因のこともあります。切り分けは「Google口コミが消えた・件数が減ったとき|戻るケースと戻らないケース」を参照してください。
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本部が全店を見られる状態の作り方
結論として、本部が全店を把握する最短の方法は、権限を集めることではなく、「どのプロフィールが、誰のアカウントで、どの状態にあるか」の一覧を本部が持つことです。権限の付与は加盟店の協力が前提で、一晩では揃いません。先に台帳を作ります。
手順1:全店のプロフィール台帳を作る
列は次の程度で足ります。スプレッドシートで構いません。
| 列 | 記入内容 |
|---|---|
| 店舗識別子 | 社内の管理番号 |
| マップ上のビジネス名 | 実際に表示されている文字列をそのまま |
| オーナー権限の所在 | 本部/加盟店/不明 |
| オーナー確認の状況 | 済/未/不明 |
| 本部の管理権限 | あり/なし |
| 主カテゴリ | 表示されているもの |
| 電話番号・URL | 実際の登録値 |
| 最終確認日 | 台帳を更新した日 |
「不明」を空欄にせず「不明」と書くのがコツです。埋まっていない行が、そのまま次にやることのリストになります。
手順2:検索して、重複と表記ゆれを洗う
ブランド名で検索し、マップ上に出てくるプロフィールを台帳と突き合わせます。台帳にない拠点が出てきたら、閉業した旧店舗か、加盟店が別途作ったものか、第三者が作ったものかを確認します。表記ゆれは前述の名称一貫性のガイドラインに照らして是正対象になります。
重複が見つかった場合の窓口はヘルプに書かれています。「同じビジネスのビジネス プロフィールが 2 つ以上 Google マップに存在する場合は、Google マップで提案を報告して統合をリクエストしてください。すべての統合リクエストは審査の対象となります。」(重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する)。審査の対象である以上、リクエストすれば必ず通るものではありません。
手順3:権限のない店舗に、権限をもらう
オーナーが誰か分からない、連絡が取れないプロフィールについては、ヘルプに手順があります。「ビジネスの確認済みプロフィールがすでに存在し、自分がオーナーでない場合は、現在のオーナーにアクセス権をリクエストできます。」(同ページ)。リクエスト後の流れも記載されています。「リクエストを送信すると、現在のプロフィールのオーナーから 3 日以内に以下の返信があります。」として、承認済み・不承認・返信がない場合の三つが挙げられ、返信がない場合は「リクエストから 3 日が経過しても返信がない場合は、ご自身を対象プロフィールのオーナーとして申請できることもあります。」(同ページ)とされています。ただし同ページには「ヒント: プロフィールの申請は、常にできるわけではありません。」という注記もあります。
前任者や委託先が権限を握っている場合の進め方は、「ビジネスプロフィールの権限を前任者や業者が持っているとき|取り戻す手順」にまとめています。
手順4:更新ルールを一枚にする
台帳が揃ったら、本部が「変えてよい人・変え方」を一枚のルールにして配ります。特に営業時間は、Google側の情報で更新されることがあり、本部が気づかないうちに表示が変わるケースがあります。原因と直し方は「Googleマップの営業時間が勝手に変わる原因|「Googleによる更新」の直し方」で扱っています。
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口コミ依頼を本部ルールにするときの線引き
結論として、本部が加盟店に口コミ運用を展開するなら、「やってよいこと」より先に「やってはいけないこと」を配るのが安全です。加盟店が良かれと思ってやった行為で、プロフィールが停止される可能性があるからです。ガイドラインには「Google は、上記のガイドラインに違反した個人または事業体による Google ビジネス プロフィール、その他の Google サービスへのアクセスを停止する権限を留保します。」(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン)と明記されています。
本部マニュアルに入れる禁止事項の例:
- 割引・粗品・サービスなど、対価と引き換えに口コミを依頼しない
- 高評価だけを選んで依頼する、低評価になりそうな人を除外する、といった選別をしない
- その場で書くよう要求・強要しない。書くかどうかも、書く内容も相手が決める
- 特定の内容(サービス名、担当者名、特定の表現)を含めるよう依頼しない
- 店舗や本部の側が代理で投稿しない。関係者による投稿をしない
- スタッフに口コミの件数を求めない。件数を評価指標にしたり、目標として割り当てたりすると、上の禁止事項を破る動機になります。本部が見るなら、依頼の声かけが手順どおり行われているかどうかという運用面に留める
実測の参考として、自社運用(名古屋のWEB制作会社 graciauto が運営する24店舗、2026年9月14日時点)では、来店後アンケートの閲覧59に対し回答52、そこからGoogleへ遷移したのが14でした。母数が小さく、これだけで一般化はできません。ただ「案内を見た人のうち、実際に投稿画面まで進むのは一部」という感覚は、目標設定の現実性を考えるうえで参考になります。依頼のタイミングと言い方については「口コミ依頼は「いつ・誰が・何と言うか」|依頼あり店となし店の実測差」を参照してください。
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よくある質問
Q. 本部がオーナー権限を持つのと、加盟店が持つのと、どちらが正しいのですか。
A. 公式ヘルプに「フランチャイズの所有権は本部/加盟店のどちらが持つべきか」という規定はありません。ガイドラインが求めているのは、ビジネスごとにプロフィールが1つであること、名称とカテゴリが拠点間で一貫していることです。この二つを満たせる体制であれば、どちらが所有しても構いません。決めたら契約書に書く、が要点です。
Q. 加盟店ごとに店舗名へ地名を足したいのですが。
A. ガイドラインは、同一国内の拠点は場所に関わらず同じ名称にすると述べ、「ホーム・デポ新都心店」のような形を認められない例として挙げています(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン)。一方で「一部の実際の店舗、ウェブサイト、事務用品で一貫して別の名称を使用している場合は、その名称を使用できます。」という例外も併記されています。自社の看板や書類での実際の表記を確認したうえで判断してください。
Q. 脱退した加盟店の口コミを、本部側に移せますか。
A. 口コミを別のプロフィールへ移す方法は、公式ヘルプに記載がありません。記載があるのは重複プロフィールの統合時の挙動で、「2 つのプロフィールを統合すると、クチコミは統合されますが、クチコミへの返信は失われる可能性があります。」(重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する)とされています。統合は同一のビジネスを代表するプロフィール同士が前提で、審査もあります。
Q. 脱退した店の古い口コミに、ブランド名が書かれています。消せますか。
A. 口コミは投稿者のコンテンツであり、店側が削除できるとはヘルプに書かれていません。ポリシー違反にあたると考える場合は報告できますが、報告できることと削除されることは別です。報告後の流れは「Google口コミを報告したあとの流れ|対象になる口コミ・ならない口コミ」にまとめています。
Q. 同じ建物に複数ブランドの加盟店が入っています。プロフィールは分けられますか。
A. ヘルプは、同じ住所に複数のビジネスがある場合について、「名前が異なり、看板の違いがはっきりと確認できる、明確に異なるビジネス。」であり登録資格があれば、それぞれにプロフィールを作成できると記載しています(重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する)。看板の実在が条件になっている点に注意してください。
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ここまでの内容は、スプレッドシート一枚と、加盟契約の見直しがあれば実行できます。台帳を作り、重複と表記ゆれを洗い、権限の所在を埋め、禁止事項を一枚にして配る。この四つに、特別なツールは要りません。
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