多店舗のビジネスプロフィール権限設計|グループ・オーナー・管理者の分け方
この記事でわかること
- ビジネス拠点グループ(通称ビジネスグループ)の役割と作り方
- オーナーと管理者で、できる操作がどう違うか
- 本部・店長・外部業者にそれぞれどの権限を渡すか
- 退職・契約終了のときに権限を外す手順と、7日間の制限
- 組織アカウントがメール招待を受けられなかったときに、自社で通った回避策
店舗が3店、5店と増えると、Googleビジネスプロフィールの権限は放っておくと散らかります。開業時に担当した人の個人Gmailがオーナーのまま、という状態が典型です。この記事は、Googleの公式ヘルプで確認できる仕様(2026年9月20日時点)と、自社で24店舗の運用を支援するなかで踏んだ実例をもとに、権限の分け方を整理します。
ビジネス拠点グループとは何か
ビジネス拠点グループは、複数のプロフィールをまとめて入れておく共有フォルダのようなものです。グループに人を追加すれば、その人はグループ内の全店を扱えます。多店舗の権限設計は、まずこのグループを本部の持ち物として作るところから始まります。
公式ヘルプ「ビジネス拠点グループを作成、管理する」は、グループを「プロフィールの共有フォルダのようなもの」と説明しています。ログイン情報を共有せずに、複数人で同じ店舗群を管理するための仕組みです。日本語の画面や現場では「ビジネスグループ」とも呼ばれますが、現在のヘルプ上の名称は「ビジネス拠点グループ」です。
作り方も同じページに手順があります。
- ビジネス プロフィール マネージャーにログインする
- 「グループを作成」を選ぶ(プロフィールが2つ以上ある場合に表示)
- グループ名を入力して「作成」を選ぶ
- 既存のプロフィールは、選択して「操作」→「ビジネスの移管」から移管先グループを選ぶ
注意点が1つあります。同ヘルプには、ビジネス拠点グループは別のグループの管理者にはなれない、という制限が書かれています。グループを入れ子にして階層を作る設計はできません。
グループにもオーナーと管理者がいる
グループ自体にも役割があります。「ビジネス拠点グループのオーナーと管理者を管理する」によると、グループのオーナーはユーザーの追加・削除、グループの削除、オーナー権限の譲渡ができます。グループの管理者は、グループ内の全プロフィールを操作できますが、ユーザー管理とグループ削除はできません。
オーナーと管理者の権限差
差は2点だけです。ユーザーの追加・削除と、プロフィールの削除はオーナーにしかできません。店舗情報の編集、口コミへの返信、投稿、写真の追加は、管理者でも同じようにできます。
公式ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」の権限表から、多店舗運用に関わる行を抜き出します。
| 操作 | オーナー | 管理者 |
|---|---|---|
| ユーザーの追加と削除 | できる | できない |
| ビジネスプロフィールの削除 | できる | できない |
| ビジネス情報の編集(URLを含む) | できる | できる |
| クチコミへの返信 | できる | できる |
| 投稿の作成・管理 | できる | できる |
| 写真の追加・編集 | できる | できる |
オーナーは複数人を設定できます。ただし「メインのオーナー」は1プロフィールにつき1人だけです。メインのオーナーは、権限をほかの人へ譲渡するまで自分を削除できません。譲渡には、そのプロフィールにほかのオーナーか管理者が少なくとも1人いることが条件です。
つまり日々の運用に必要な操作は、管理者権限で足ります。オーナー権限が要るのは「人の出入り」と「プロフィールを消す」場面だけです。
本部・店長・外部業者に何を渡すか
オーナー権限は本部だけが持ち、店長と外部業者には管理者権限を渡す形が扱いやすいと考えます。理由は、人を外す操作ができるのがオーナーだけだからです。ここはGoogleの規定ではなく、運用上の提案です。
| 立場 | 渡す権限 | 単位 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 本部(会社が管理する、個人に紐づかないアカウント) | グループのオーナー・各店のメインのオーナー | 全店 | 人の追加・削除とプロフィールの存廃を会社が握る |
| 本部の運用担当者 | グループの管理者、または2人目のオーナー | 全店 | 日常の編集と返信。メインのオーナー譲渡の受け皿にもなる |
| 店長 | 管理者 | 自店のみ | 返信・写真・臨時休業の更新に足りる。他店は見えなくてよい |
| 外部業者(制作・運用代行) | 管理者 | 契約範囲の店のみ | 契約終了時に本部が外せる状態を保つ |
なお、グループの管理者も、グループ内のプロフィールを追加・編集・削除できます。プロフィールの存廃まで特定の人に限りたい場合は、運用担当者をグループではなく各店の管理者として追加します。
決めておきたい原則は3つです。
- メインのオーナーを個人のGmailにしない。 退職や連絡不通が起きると、取り戻すのにアクセス権のリクエストから始めることになります。会社が管理するアカウントで持ちます
- オーナーは2人以上にする。 メインのオーナーの譲渡には、ほかのオーナーか管理者が必要です。1人しかいない状態は、その人のアカウントに何かあった時点で詰みます
- 外部業者にオーナーを渡さない。 業務に必要な操作は管理者権限で足ります。業者から「オーナー権限が必要」と言われたら、どの操作に必要かを確認します
なお、フランチャイズで加盟店がプロフィールを持つ場合は、契約の話が絡むため事情が変わります。この記事では、本部が全店を直接管理できる前提で書いています。
権限が整っていることは、全店の返信を同じ水準で見るための前提になります。自社で運用支援する美容サロン24店舗の返信率は98%でした(2026年9月14日時点)。本部が未返信を確認する体制があって出ている数字です。返信率は、返信が付いている件数を口コミの総件数で割った値です。
退職・解約時の手順
外す操作はオーナーが「ユーザーとアクセス権」から行います。気をつける点は、追加されたばかりのオーナー・管理者には約7日間の制限があることです。引き継ぎは、退職日の直前ではなく1週間以上前に始めます。
公式ヘルプ(オーナーと管理者を管理する)の画面の流れは次のとおりです。
- ビジネスプロフィールにアクセスする
- 「その他」→「ビジネス プロフィールの設定」→「ユーザーとアクセス権」を開く
- 追加するときは追加アイコンからメールアドレスを入れ、「オーナー」か「管理者」を選んで「招待」
- 外すときは同じ画面で対象のユーザーを選んで削除する
同ヘルプには、オーナーまたは管理者になってから7日ほどは、一部の操作ができないと書かれています。できないのは、プロフィールの削除、ほかのオーナー・管理者の削除、メインのオーナー権限の譲渡です。
このため、退職者がメインのオーナーだった場合の順番は次のようになります。
- 後任(または会社が管理するアカウント)をオーナーとして追加する
- 7日ほど待つ
- 退職者から後任へ、メインのオーナー権限を譲渡する
- 退職者を削除する
権限台帳を1枚持つ
店舗ごとに「メインのオーナー/オーナー/管理者/追加日/追加理由」を並べた表を1枚作ります。入社・退職・業者の契約開始と終了のたびに更新します。四半期に1回、台帳と実際の「ユーザーとアクセス権」の画面を突き合わせると、消し忘れが見つかります。グループに入れて管理している店は、グループ側のユーザーだけ見れば済むので、点検の手間が店舗数に比例しません。
組織アカウントが招待を受けられない場合の回避策
メールアドレス宛の招待がエラーになるアカウントがあります。自社では、招待する側がメールアドレスの代わりにビジネス拠点グループのIDを入力することで通りました。公式ヘルプには、受け取る側(代理店)から「新しいユーザーを招待」→「グループのいずれかを追加」と進む経路が載っています。オーナー側でグループIDを入力する操作は公式ヘルプに明記されておらず、自社で確認した1例です。
起きたことを一般化して書きます。2026年9月、あるオーナーアカウントから、本部側の担当アカウントを店舗のユーザーとして招待しようとしました。招待は「組織またはユーザーグループに属しているため」という趣旨のエラーで受けられませんでした。担当アカウントが、代理店向けの「組織」に所属していたためです。
公式ヘルプ「代理店による組織の管理について」は、組織アカウントを「ビジネスオーナーの代わりにビジネス情報を管理するサードパーティのために設計されたビジネス プロフィールのアカウント」と説明しています。ただし、組織に属するユーザーが個別の招待を受けられるかどうかは、確認した範囲のヘルプには書かれていませんでした(2026年9月20日時点)。
通った手順は次のとおりです。
- 受け取る側(本部)が、自分のビジネス拠点グループのIDを確認する。ビジネス プロフィール マネージャーでグループを選び、グループ名の横の「グループ設定」を開くとIDが表示される(代理店のビジネス拠点グループを管理するに記載)
- そのIDを、店舗のオーナー側に伝える
- オーナー側が「ユーザーとアクセス権」の追加画面で、メールアドレスの代わりにグループIDを入力し、役割を選んで追加する
- 受け取る側のグループ内に、その店舗が現れることを確認する
この方法だと、店舗は個人ではなくグループに紐づきます。担当者が替わっても、グループ側のユーザーを入れ替えるだけで済みます。回避策として使いましたが、結果的に個人宛の招待より管理しやすい形でした。
画面の文言や挙動は変わることがあります。同じエラーが出たときの選択肢の1つとして試してください。
よくある質問
ビジネスグループとビジネス拠点グループは別のものですか
同じものを指します。現在の公式ヘルプ上の名称は「ビジネス拠点グループ」です。以前の名称や画面の表記から「ビジネスグループ」と呼ばれることがあります。
店長にオーナー権限を渡してはいけませんか
禁止されてはいません。ただ、返信・情報編集・投稿・写真は管理者権限でできます。オーナーにしかできないのは、ユーザーの追加・削除とプロフィールの削除です。店長の業務にその2つが要らないなら、管理者で足ります。
追加したばかりの担当者が、退職者を削除できません
公式ヘルプに、オーナー・管理者になってから7日ほどは、ほかのオーナー・管理者の削除やメインのオーナー権限の譲渡ができないと書かれています。7日ほど待ってから操作してください。
メインのオーナーが退職して連絡が取れません
この記事の範囲外ですが、Googleにはプロフィールのアクセス権をリクエストする手続きがあります。こうならないために、メインのオーナーを会社管理のアカウントにし、オーナーを2人以上にしておくことを勧めます。
店舗数が少なくてもグループは作るべきですか
プロフィールが2つ以上あれば作れます。2〜3店の段階で作っておくと、店が増えるたびに個別招待をやり直す手間がなくなります。
店舗数が増えて手作業で回らなくなったら
権限の整理、台帳の点検、各店の口コミ返信は、ここまでの手順で手作業でも回せます。ただ、店舗数が増えると、全店の口コミを毎日見て返信を揃える作業が先に詰まります。そうなったら、人を増やす前に仕組みにすることを検討してください。
