多店舗・本部の運用

多店舗の口コミ返信は本部と店舗のどちらが返すか|3つの体制と承認の流れ

この記事でわかること

  • 口コミ返信の3つの体制(本部一括・店舗任せ・店舗が書いて本部が承認)の比較
  • 承認者と期限の決め方
  • 低評価が付いたときのエスカレーション
  • 返信率の測り方
  • 店舗数が増えると詰まる箇所

Googleの仕様に触れる箇所は、2026年9月20日時点の公式ヘルプを確認した内容です。この記事は体制と承認の流れだけを扱います。返信の文面そのものは扱いません。

3つの体制を比べる

体制は、本部一括、店舗任せ、店舗が書いて本部が承認、の3つに分けられます。どれを選んでも、「全店の未返信を本部が見ている」状態がなければ返信率は保てません。体制の違いは、誰が書くかの違いであって、誰が漏れを拾うかは別に決める必要があります。

体制書く人向いている状況弱い点
本部一括本部の担当者店舗が施術で手一杯。表現の水準を全店で揃えたい来店時の状況を本部が知らない。事実確認のたびに店舗へ問い合わせが要る
店舗任せ店長店舗数が少ない。店長が口コミに関心を持っている店ごとに返信の有無と速さがばらつく。店長の交代で止まる
店舗が書いて本部が承認店長が文案、本部が確認して公開来店時の事実を反映させたいが、低評価での事故は避けたい承認待ちで滞る。承認者が1人だと、その人の不在で全店が止まる

実務では、3つを混ぜる形が扱いやすいと考えます。たとえば、通常の口コミは店舗が返し、低評価だけ本部の承認を通す、という分け方です。ここはGoogleの規定ではなく、運用上の提案です。

自社で運用支援する美容サロン24店舗では、口コミ568件に対する返信率が98%でした(2026年9月14日時点)。これは、本部が全店の未返信を確認する体制があって出ている数字です。店舗任せにした場合の数字は、このデータには含まれていません。返信率の出し方は、後半の「返信率の測り方」で説明します。

体制を決める前に、権限を確認する

返信には前提が2つあります。1つは、返信する人がそのプロフィールのオーナーか管理者であること。もう1つは、ビジネスのオーナー確認が済んでいることです。後者について、Googleビジネスプロフィール ヘルプのユーザーからのクチコミを管理するには、「クチコミに返信するには、ビジネスのオーナー確認を行う必要があります。」と書かれています。

本部が全店を見る体制を取るなら、本部のアカウントが全店のプロフィールに入っていることが前提です。店長に返信を任せるなら、店長に自店の権限が要ります。誰に何の権限を渡すかは、多店舗のビジネスプロフィール権限設計|グループ・オーナー・管理者の分け方で整理しています。

承認者と期限の決め方

承認者は2人以上、期限は「口コミが付いてから何営業日以内に返信を公開するか」で決めます。期限は、書く人の期限と承認する人の期限を分けて置きます。1つの期限しかないと、どちらで止まっているのかが分かりません。

決めておく項目は次のとおりです。

  • 承認が要る口コミの範囲。全件か、低評価だけか
  • 承認者。主担当と、不在時の代理の2人
  • 文案の期限。例:口コミが付いてから2営業日以内
  • 承認の期限。例:文案が届いてから1営業日以内
  • 期限を過ぎたときの扱い。例:承認の期限を過ぎたら代理が承認する

日数は例です。自店の営業日と人員に合わせて決めてください。重要なのは、日数の長短よりも、期限を過ぎた口コミが誰の目にも見える状態になっていることです。

期限を決めるとき、Google側の審査も頭に入れておきます。同じヘルプによると、返信の審査の所要時間は通常10分以内ですが、最長で30日ほどかかる場合があります。社内で承認して送信しても、公開までに間が空くことがあります。社内の期限は「送信まで」で区切り、公開されたかどうかは別に確認します。

低評価のエスカレーション

低評価は、店舗だけで返さず、本部に上げる経路を決めておきます。理由は、返信の仕様にあります。返信が公開されると、投稿者に通知が届きます。投稿者は、返信を読んだあとでも口コミを変更できます。返信は、投稿者本人に届くやりとりです。

公式ヘルプで確認できる返信の仕様は次のとおりです。

  • 返信は、Googleのコンテンツポリシーに沿っているかを審査される
  • 返信が公開されると、口コミを投稿したユーザーに通知が届く
  • ユーザーは、返信を読んだあとでも口コミを変更できる

エスカレーションで決めておくことは4つです。

  1. 対象の基準。例:★2以下の口コミ、健康被害や事故に触れている口コミ、スタッフ個人の名前が出ている口コミ、返金や法的な対応に触れている口コミ
  2. 連絡の経路。店長から本部の誰へ、何の手段で伝えるか
  3. 店舗側が用意する情報。該当しそうな来店日、担当者、当日の経緯。店舗で確認できた事実だけを伝える
  4. 返信を公開する人。対象の口コミは、本部の承認を通してから公開する

店舗が先に気づくとは限りません。本部が先に見つけた場合に、店舗へ事実確認を依頼する逆向きの経路も決めておきます。

口コミの内容がGoogleのポリシーに違反していると考えられる場合は、返信とは別に報告の手続きがあります。報告はどの口コミにもできますが、削除の対象になるのはポリシーに違反している口コミだけです。流れはGoogle口コミを報告したあとの流れ|対象になる口コミ・ならない口コミにまとめています。報告するかどうかの判断も、店舗ではなく本部に寄せておくと、店ごとの対応の差が出にくくなります。

返信率の測り方

返信率は「返信済みの件数÷口コミの総件数」で出します。全店の合計だけでなく、店舗別にも出します。合計が高くても、特定の店だけ返信が止まっていることがあるためです。

自社の98%は、累計568件に対して返信が付いている件数の割合です(2026年9月14日時点)。本文のない★だけの口コミも、総件数に含めています。

測るときに決めておくことは次のとおりです。

  • 分母に何を含めるか。★だけの口コミを含めるかどうかを決め、毎回同じ基準で数える
  • 累計と当月を分ける。累計の返信率は、過去の蓄積で高く見えます。当月に付いた口コミのうち、月末時点で返信済みの割合を別に出すと、いまの体制が回っているかが見えます
  • 未返信の経過日数を見る。返信率が同じでも、未返信が3日前の1件なのか、3か月前の1件なのかで意味が違います
  • 測る日を固定する。毎月同じ日に数えないと、月ごとの比較ができません

返信率を店舗の評価や店長の査定に直結させることは、すすめません。数字を上げるために、確認の済んでいない低評価へ急いで返信する、という動きが出るためです。返信率は、体制の漏れを見つけるための数字として使います。

店舗数が増えると詰まる箇所

詰まるのは、書く作業よりも、「気づく」「待つ」「引き継ぐ」「数える」「確認する」の5か所です。店舗数が1桁のうちは人の注意力で回りますが、増えるほどこの5か所で漏れます。

  • 気づく。新着の口コミに気づく手段が、各店の通知メールだけになっている。通知を受けるアドレスが退職者のものだった、という形で止まります
  • 待つ。承認者が1人で、休みや繁忙期に承認待ちが積み上がる。代理を決めていないと、全店が同時に止まります
  • 引き継ぐ。店長が交代したとき、権限と返信の担当が引き継がれない。前任者の個人アカウントに権限が残ったままになります
  • 数える。店舗別の未返信を、誰も一覧で見ていない。全店合計の返信率しか出していないと、止まっている店が埋もれます
  • 確認する。本部が事実確認を店舗に依頼したあと、返事が来ないまま期限を過ぎる。依頼の記録が個人のチャットに散らばっていると、追えません

対策は、どれも仕組みの話です。全店の口コミを1か所で見られる一覧を持つ、承認者を2人にする、店長交代時のチェックリストに権限と返信担当を入れる、月に1度は店舗別の未返信を数える。ここまでは、スプレッドシートと月次の確認で実行できます。

よくある質問

本部と店舗のどちらが返信するのが正解ですか

Googleが決めている正解はありません。来店時の事実を知っているのは店舗、全店を同じ水準で見られるのは本部です。通常の口コミは店舗、低評価は本部の承認を通す、という混ぜ方が扱いやすいと考えます。どの体制でも、未返信を拾う役割は本部に置くことをすすめます。

返信率の目標は何%に置くべきですか

公式な目安はありません。自社で運用支援する24店舗は98%ですが(2026年9月14日時点)、これは本部が全店の未返信を確認する体制での数字です。目標の数字より先に、未返信を誰がいつ確認するかを決めるほうが、結果として率は安定します。

店長に返信を任せる場合、どの権限が必要ですか

口コミへの返信は、オーナーでも管理者でもできます。オーナーと管理者の違い、店長に渡す範囲は多店舗のビジネスプロフィール権限設計で整理しています。

返信を送ったのに表示されないのはなぜですか

返信はGoogleの審査を受けます。公式ヘルプには、審査の所要時間は通常10分以内、最長で30日ほどかかる場合がある、と書かれています(2026年9月20日時点)。送信した日を記録し、公開されたかどうかを後日確認します。

返信したあとで、口コミの内容が変わることはありますか

あります。公式ヘルプには、返信が公開されると投稿者に通知が届くこと、投稿者は返信を読んだあとでも口コミを変更できることが書かれています。低評価への返信を本部の承認に通す理由の1つです。

店舗数が増えて手作業で回らなくなったら

ここまでの体制は、一覧表と月次の確認があれば、手作業で回せます。店舗数が増えると、全店の新着に気づくこと、承認待ちを追うこと、店舗別の未返信を数えることが、1人の担当者では追いつかなくなります。その段階に来たら、確認と承認の流れを仕組みにすることを検討してください。

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